五色と二次の海につかる、日記

俳優/劇作家/アニメライターの細川洋平による日記・雑記です。

「さよなら」をいわないさようなら(こじらせてなんかいない)

みっちぇるが脱退しました。

なんの話かといいますと、新生アイドル研究会BiSのミチバヤシリオことミッチェル(愛称)が、9月22日、女川秋刀魚収穫祭2013でのライブを最後に、アイドルをやめました。ということです。

脱退が決まってから、ぼくはほとんどBiSの現場に行けませんでした。
8月のシェルターライブと9月1日のZeppDiversityTokyoには行きましたけど、リリースイベントは行けませんでしたし。
シェルターのライブは熱量がすごかった。BRAHMANの最前エリアがライブハウス全体に及ぶ感じ。おろしたてのTシャツがけばけばになりました(笑)。
ダイバーの足がガンガン頭にぶつかったり……。

ぼくが行ったライブはそんなところでしょうか。

BiS、というか、アイドルのだいたいの現場はCDを買うと「イベント券」がついてきて、一枚で握手、2枚以上でチェキ、などとなっていきます。
「接触」というものです。

ぼくはBiSがアイドルとの接触は初めてだったのですごい緊張したのを覚えています、というか、今でも緊張します。
ただ、握手したり、チェキを撮ったりするとすごく気持ちが入ります。
だからもっともっと応援したい、と思う。

現場に行って感じた事だけでいいますと、熱心なオタさんは界隈というのか、各アイドルにはオタグループがあって、そこに「TO」と呼ばれる、つまりオタの中でもトップの、トップオタがいる、という状況なんだと思います。その周辺には、仲のいいオタさんが集まって界隈を形成している。コミュニティーが出来上がっているわけです。

TOさんをはじめ、界隈でも名の通ったオタさんはアイドルのメンバーも認知していて、特にBiSはその交互の関係がすごくいい。と感じました。
ライブ現場の秩序を守ったりしているのも、生誕イベントを企画しているのもTOさんはじめ、有名オタさんたち、有志の人たちに寄るものなんだ、というのも。

話がずれました。

そんな中で、じゃあ自分はアイドルに認知してもらえるのだろうか。
そもそも認知してもらいたいのだろうか。

そんな面倒くさい疑問がわき上がってきました。

アニメ「惡の華」で10話(あたり?)で高男が佐伯さんに「ミューズでいてほしかった。人間だって思いたくなかった」と告白する場面がありますが、
それに似ているなと思いました。

神性や偶像として、熱狂したい、という気持ち。

だからアイドルと握手するたび、「なんでもないことなんだ」と自分に言い聞かせる度、
自分がアイドルに対して抱いている神性がそぎ落とされていく気がして、
それもまた緊張を高める装置になったりしました。

それから、認知をされた瞬間、自分自身も、他のオタさん達と同じ土俵に上がり、
そのアイドルからの認知のされ具合を比較してしまうという空しいシーソーゲームに、
心中は穏やかならぬ状況になったり。

つまり、誰かと比べられるのは自信がないし、誰かより自分が、
アイドルにとってより大きな存在になる自信もない、ということでしょうか。

たぶん自分が他より特別である、とか、自分だけ、みたいな気持ちがあるから、
そんな小さな劣等感が生じるんだと思いますが、
それを避けるためにはある程度の距離を取った方が安定します。

そんなことも考えつつ、ミッチェルとの接触には挑んでいました。

いや、こじらせてなんていない。

ただ、自分でもこんな状態はよくないなと思ったので、
本来の自分の得意なポジション、少し遠目から見守る、という立ち位置にシフトを移しただけではあります。

それでもミッチェルとのお別れを、現場でできなかったのは心底寂しいと思います。

だけど、それは一つは、自分的にはお別れをしていないのだから、
またいつか戻ってきた時に、もはや「おかえり」すらも言わずに、
今までと同じように、応援できるための準備である、と自分に言い聞かせながら、
でもふと思い出した時、次回、BiSのライブ、みっちぇるのいない現場を目の当たりにした時に、
ひっそりと悲しくなるんだろうなと。

それでも涙を流すのは、TOさんや、熱心に心身ともにみっちぇるに捧げていたオタさんの役目なんじゃないのか、と思ったりしていて、
そういう一つの、いや、いくつものフィルターを通した上で、言わせていただきますが、

みっちぇる、お疲れさまでした。

推しが脱退するという経験は初めてで、ちょっと戸惑っていますが、
それでも応援してきてよかったと思います。

ありがとうございました。

この先のみっちぇるの人生にも、BiSの経験以上のものがありますように。
町中で見かけたら、にやりとするかも知れませんが、
そのくらいは許してください。

応援しています。